VOL.49
「夫婦漫才」







ドルチェ
「うー パタパタ」


ガルティ
「お待たせ〜」


ドルチェ
「あ」


ガルティが走ってきた。

ドルチェ
「遅いよ〜」


ガルティ
「ごめんごめん^^;
ちょっとかかってきた電話が
長引いちゃって」


ドルチェ
「早く行こうよ・・
熱くて熱くて」


ガルティ
「へぇ、ドルチェ君
もう半そでなんだ」


ドルチェ
「暑いのぜんっぜんダメだからね」






二人は焼肉食べ放題の店に入っていった。
案の定だった。

ガルティ
「あー、お腹空いた〜」


ドルチェ
「そうだね」


ガルティ
「ドルチェ君お肉って食べるっけ」


ドルチェ
「豚肉なら〜」


ガルティ
「あぁ大丈夫。
ここ豚もいろいろ置いてあるから」


ドルチェ
「うん」




二人は肉を更に盛って
席に座った。

ガルティの皿には
山盛りの肉が盛られていた。

ドルチェ
「・・・^^;」


ガルティ
「ここ、平日でもお昼2時間だし
意外と人が少ないから落ち着けるんだ〜」


ドルチェ
「へぇ・・」


ガルティ
「ん、どうしたの?」


ドルチェ
「ね、ねぇ。
ガルっちって
いつもそれくらい大量に
食べるの?」


ガルティ
「そうだね〜
顔からは想像できないかな」


ドルチェ
「ううん、僕も
好きなものはガッツリ食べちゃう方だし。
でも最初からそれって
大丈夫なの?」


ガルティ
「うん、楽勝楽勝^^」


トークをしながら
二人は指定した陣地に
自分の肉を焼いていく。

ジューっと焼かれる肉からは
食欲をそそる肉汁が
ポタポタたれていった。

ガルティ
「それにしても、
ドルチェ君とご飯食べるのも
久しぶりだよね」


ドルチェ
「うん」


ガルティ
「それにドルチェ君・・
最近雰囲気変わったよね〜」


ドルチェ
「ん?」


ガルティ
「うん、段々男らしくなっていってるというか」


ドルチェ
「最近鍛えてるからね〜
一時期はぽっちゃりしてて
めちゃやばかったし^^;」


ガルティ
「そうなの?
見た感じぜんぜんそうは見えないけど」


ドルチェ
「むしろガルっちが異常すぎだろ;」


ガルティ
「親の遺伝だからね〜」


ドルチェ
「君はそうでも
ケルガーさんはそうじゃないんだから」


ガルティ
「うん、実際言われるんだ〜
食費がバカにならないって^^;」


ドルチェ
「やっぱり・・」


ガルティ
「でも最近、
ケルガーとご飯食べる機会
少なくなっちゃったな」


ドルチェ
「え、どうして?」


ガルティ
「すれ違いが多いんだ〜

お互いバイトの時間帯も違うし
休日もどっちかがいないときも多いしね」


ドルチェ
「亀裂が生じたってこと?」


ガルティ
「まさか!
僕とケルガーに限ってそんなこと・・」


ドルチェ
「何、急にしぼんだように・・」


ガルティ
「いや・・ね」


焼かれる肉の前で
ガルティはため息をついた。

ドルチェ
「ガルっち?」


ガルティ
「・・・」


ドルチェ
「肉・・焦げるよ」


ガルティ
「分かってるよ」


顔はしょんぼりしているが
箸を持つ手は
次々と焼けた肉を取り皿に移し、
同時に次の肉を網に乗せていった。

ドルチェ
「^^;」


ガルティ
「でもねぇ・・
ちょっと長く続くと
僕も不安になっていくんだ」


ドルチェ
「分からなくもないよ。

結婚してる人って
すれ違い長引くと
そのまま離婚しちゃうこともあるし」


ガルティ
「離婚ねぇ。
一時期凄い話題になった
夫婦も離婚してるしね」


ドルチェ
「あぁ、藤原とか金をくれーの人とかか」


ガルティ
「間違ってはいないけど^^;」


ドルチェ
「でも離婚こそはしたけど
仲はそれほど悪くなってないらしいよ」


ガルティ
「うん、それは知ってる」


ドルチェ
「特にココリコの遠藤と千秋なんて
離婚しても一緒にご飯食べに行ってるらしいしね」


ガルティ
「何でそんなことまで知ってるの?」


ドルチェ
「芸能関係も意外と見てるからねw」


ガルティ
「抜け目ないね」


ドルチェ
「www」


ガルティ
「まぁタレントの夫婦仲はともかく、
最近ケルガーとすれ違うことが多いから
ちょっと不安になってきてね。

かといって直接ケルガーに問いただすのも
気が引けるし・・」


ドルチェ
「ガルっちって
意外と内気だったんだ?」


ガルティ
「元々ね。
バイトでもなかなか
反りが合わないことが多いから」


ドルチェ
「なるほどねぇ・・」


ガルティ
「あ、ごめんね^^;
今日は普通に一緒にお昼食べようって約束だったのに
こんな話しちゃって」


ドルチェ
「別に良いよ^^
そういう場だしねw」


ガルティ
「そういってくれると安心するな・・」


ドルチェ
「それよりガルっち」


ガルティ
「え?」


ドルチェ
「いい加減肉食べたら・・?」


ガルティ
「あ」


ガルティの取り皿には
大量の焼かれた肉が盛られていた。
当然一番下の肉は冷めていた。





ガルティ
「ふぅ、満足満足」


ドルチェ
「やっぱ異常だよ・・
どうしてあんだけの量を
あんな短時間で」


ガルティ
「ん?」


ドルチェ
「あ;
別に〜^^;」


ガルティ
「?」


ドルチェ
「それよりさ。
さっきの話だけど」


ガルティ
「うん」


ドルチェ
「ガルっちとケルガーさんって
同棲してるんでしょ?」


ガルティ
「そうだね。
同居って言うより
もう同棲に近いかな」


ドルチェ
「そうだなぁ・・
ちょっと大胆だけど」


ガルティ
「大胆って何が?」


ドルチェ
「ちょっと耳貸してよ」


ガルティ
「? うん」


ドルチェ
「ゴニョゴニョ」


ガルティ
「・・・」


ドルチェ
「ゴニョゴニョゴニョ」


ガルティ
「えΣ」


ドルチェ
「なーんてのはどうかな」


ガルティ
「そ、それはいくらなんでも」


ドルチェ
「けどそれくらいやらないと
真相つかめないかもしれないし=w=」


ガルティ
「真相ってそんな大げさな」


ドルチェ
「後は相手の反応だね〜」


ガルティ
「うぅん・・」


ドルチェ
「大丈夫だってw」


ガルティ
「何でそういう発想になるのかわからないけど・・
やってみようかな」


ドルチェ
「がんばれw」


ガルティ
「がんばってみるよ」






数日後の夜。

ガルティ
「今日はケルガー、バイト早く終わるって言ってたし・・
あぁ・・だ、だけど緊張するなぁ」


ガチャ

ガルティ
「!?」


玄関のドアの開く音が聞こえた。

ケルガー
「ただいま〜」


ケルガーの声が聞こえた。

・・・

ケルガー
「・・あれ?」


ケルガーは辺りを見回すが
何も反応はなかった。

ケルガー
「ガルティ・・?」


ガルティ
「お、おかえりなさい」


ケルガー
「ん?」


ガルティ
「・・・ ドキドキ」


目の前からやってきたのは、
全裸の上にエプロンを羽織った
ガルティの姿だった。

ケルガー
「ΣΣΣ」


ケルガーは仰天した。

ケルガー
「おま・・」


ガルティ
「きょ、今日はちょっと暑かったから・・」


ケルガー
「・・・」


ガルティ
「もう夕飯できてるんだ。
冷めないうちに食べて欲しいんだけど・・」


ケルガー
「あ、あぁ」


ケルガーは靴を脱ぎ、自分の部屋へ戻ろうとした。
すると、ケルガーはガルティの着ている
エプロンのある部分をすぐに見つけた。

ガルティ
「どうしたの?」


ケルガー
「や、別に・・」


エプロンの後ろには一本の長い紐がタラーンと
垂れ下がっていた。

ケルガー
「・・・」


ガルティ
「ケルガー?」


ケルガー
「なぁ、ガルティ・・」


ガルティ
「なに・・?」


ガルティ
「その格好・・流行ってんの?」


ガルティ
「う、ううん。
僕がちょっとやってみたかったんだ」


ケルガー
「へぇ・・」


ガルティ
「ケルガー?」




ガルティ
「・・・」


ケルガー
「・・・」


なぜか黙々と食事を続ける二人。

ガルティ
「・・ねぇ」


ケルガー
「ん?」


ガルティ
「何か・・気に障ったことでもしたかな・・僕」


ケルガー
「いや」


ガルティ
「じゃあ・・なんで黙り込んでるの」


ケルガー
「・・・言っておくけど
俺はガルティがそういう格好していることには
全然抵抗感じてねぇし、
むしろすげぇ興奮するよ・・普通ならな」


ガルティ
「普通・・って?」


ケルガー
「何か・・やる気が感じられないっていうかさ」


ガルティ
「そんなことないよ」


ケルガー
「だったらさ、
もっと堂々としてくれよ。

今のガルティ・・
めちゃ不安で恥ずかしくて
早く着替えたいって感じに見えるぜ」


ガルティ
「そんな・・」


ケルガー
「むしろ俺が・・

ガルティに何かしたのかって気になっちまうよ・・」


ガルティ
「・・そうだよ」


ケルガー
「ん?」


ガルティ
「今僕は凄い不安だよ。
心配だよ、怖いよ、ビクビクしてるよ・・!」


ケルガー
「が、ガルティ?」


ガルティ
「僕だってケルガーに喜んでもらおうと
必死になってこういう格好までして
ずっと待ってたのに・・

それなのにそんな言い方・・ないじゃんか」


ケルガー
「え、いや俺
そんなつもりで」


ガルティ
「バカ・・」


ガルティはとっさに立ち上がると
自分の部屋にそそくさと戻っていった。

ケルガー
「が、ガルティ・・」


ガルティ
「・・・」


ケルガー
「ん?」


ガルティは急に
ケルガーへ向かっていった。

ケルガー
「ちょ、それ・・」


ガルティはすかさず
右手に持っていたハリセンを大きく振りかざした。

バシィィィィィ!!

ケルガー
「ぐわ!」


ガルティ
「ケルガーのバカ・・
知らない!」


ガルティは再び自分の部屋に戻っていった。
今度はバタンと強くドアを閉め出した。

ケルガー
「・・・;;;」


ケルガーはガルティから受けた一撃で
頭を抱えながら床に転がっていた。

ケルガー
「ひ、久しぶりに受けたぜ・・
あのハリセン・・」


一瞬走馬灯をみたケルガー。
ちょっとだけ高校時代を思い出していた。

ケルガー
「・・・」







翌朝。

ガルティ
「ん、んん・・」


ガルティは目を覚ました。

ガルティ
「ん・・」


どうやら昨日の裸エプロンの状態で
寝てしまったようだ。

ガルティ
「・・・」


ガルティは目が覚めると
そのままの姿で
寝ぼけまなこにリビングへ向かっていった。

ガルティ
「ん?」


リビングのテーブルに
包装紙で包まれた箱が置いてあった。

ガルティ
「何だろう・・」


その隣には
”ガルティへ”と書かれた
一枚の紙も置かれていた。

ガルティは包装紙を丁寧に解き、
箱のふたを開けた。

ガルティ
「あ」


箱から出てきたのは
黒のチェックでまとまった
黄緑色のおしゃれなネクタイだった。

ガルティ
「これ・・僕が欲しかったヤツだ。
まさか・・」


ガルティは箱の下にも手紙が挟まっていることに気づいた。
すかさず手紙を開けて読んだ。


もう俺とガルティが一緒に暮らし始めて1年だろ?
結婚記念日ってわけじゃないけど・・
同棲記念ってことで。
ガルティ、前からこれほしいって言ってたから
プレゼントするよ。
本当は昨日渡すつもりだったんだけどな・・
昨日は無神経なこと言ってごめん。
俺も本当はすれ違いまくって
ちょっと不安に思ってたとこだったんだ。
ガルティも必死だったのはよく分かったよ。
でも・・今度から裸エプロンになるなら
堂々としてくれよな。
じゃないと俺もハラハラしちゃって^^;

困ったことがあったら相談に乗るからさ、
もう不安になんてなるなよ。
こんな俺だけどこれからも
ガルティの側にいてやるからな。

                         ケルガー
P.S あのエプロン・・紐がたれてたぜ。
   俺に引っ張ってほしかったの?


ガルティ
「ケルガー・・・」


ガルティは追伸の部分を読んで
初めて紐がたれていたことに気がついた。
ガルティは思わず赤面してしまった。

一方ケルガーは。

ケルガー
「頭痛ぇ・・」


昨日のハリセンのダメージを
まだ引きずっていた。

終わり。


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