ヨイチ達の通う中学校。
今日は中間テストの返却日だった。



コタロー
「・・・」


キサトシ
「あちゃあ・・
ひっでぇなこれ」


ヨイチ
「キサトシくーん」


キサトシ
「な、なんだ」


ヨイチ
「テスト何点だった〜?
教えてよ」


キサトシ
「い、いやぁお前より
悪いよ絶対悪い」


ヨイチ
「えぇ、ボクも今回
ちょっと危なかったんだよね^^;」


キサトシ
「キャ、だ、ダメダメ;」


ジック
「いいじゃん、素直に見せちゃえば」


キサトシ
「一度も赤点取ったこと無いから
そんなこと言えんだよ、この熱血バカ」


ジック
「へっへっへ」


ヨイチ
「いーなーぁ・・
3バカトリオって呼ばれてて」


キサトシ
「あのな・・

あれ、そういやコタローは・・」


コタロー
「・・・」


一枚のプリントを両手で握り締め、 滝のように汗をかいている。
ジック
「コタロー?

おーい」












VOL.50-1
「プラトニ・・」








翌日。

コタロー
「・・・」


キサトシ
「あれ、コタロー?」


コタロー
「んぁ?」


目の下にクマができているコタローは
少々やつれていた。

キサトシ
「部活・・行かねぇの?」


コタロー
「あーごめん。 オイラ今日休む」


キサトシ
「え”」


コタロー
「そんじゃお先・・」


コタローはふらふらと校門の外へ向かっていった。

キサトシ
「コタロー・・」


ヨイチ
「コタロー君どうしちゃったんだろ」


ジック
「やっぱ昨日のテストが相当こたえたんだな」


ヨイチ
「そうなのかな」


キサトシ
「オレは良いよ、
一応前向きだから
赤点二つくらいで落ち込んだりしないし」


ジック
「威張れる立場じゃないじゃん(笑」


ヨイチ
「そうそう」


キサトシ
「そういう風に言われると
オレも心に釘が」


ジック
「でもコタロー・・
あいつ赤点いくつだったっけ」


ヨイチ
「えっとー、
国語、数学、科学、社会科、英語・・」


ジック
「って全科目赤点じゃん!」


ヨイチ
「この前のは中間テストだから
基本科目5教科だけだったけど、
コタロー君全部赤点取っちゃったんだよね」


キサトシ
「いくらスポーツバカって言っても
流石に全科目はきついよな」


ジック
「それにしてもコタローのヤツ
結構顔色悪かったぜ」


ヨイチ
「ジック君より青かったね」


ジック
「オレは元々青いんだってば」


キサトシ
「青い肌のヤツってのも結構珍しいよな〜」


ジック
「そういう種類なんだから別にいいじゃん」


キサトシ
「あははは・・」


ヨイチ
「ん、キサトシ君どうしたの?」


キサトシ
「いや。実を言うとな・・
あいつ悪いのはテストだけじゃないんだよね」


ジック
「どういうこと?」


キサトシ
「オレとコタローって
同じ水泳部じゃん?

あいつの肺活量には
いつも驚いてんだよね」


ヨイチ
「コタロー君泳ぐのすごい上手だもんね」


キサトシ
「去年の水泳の授業見たろ?
あいつ潜水が特にすごくてさ」


ジック
「あぁ、あの時はすごかったよな〜
何しろ50メートルを息継ぎ無しで
すいーってしてたし」


キサトシ
「でもここ数日25メートルも
持たないですぐ水から上がっちゃうんだよね」


ジック
「そりゃ変だ」


キサトシ
「だろ?
それに続いてテストも全部赤・・
いくらなんでもひどすぎだよ」


ジック
「でもあいつ全然授業サボってるって
ことはなかったよな」


キサトシ
「うん、あいつスポーツもやるし
授業中も普通に受けてるはずなのにな」


ヨイチ
「ううん・・」


キサトシ
「ヨイチ?」


ヨイチ
「もしかしてさ・・」


ジック
「え、もしかしてって?」


ヨイチ
「前にマイトさんが言ってたんだけどね、
いくら正しく勉強や運動をしても
その効果が全然身につかないことがあるんだって」


キサトシ
「それってスランプのことじゃないか?」


ヨイチ
「ううん、マイトさんはスランプじゃなくて
プラトーだって言ってたよ」


ジック
「プラ・・何それ」


ヨイチ
「ボクもスランプとどう違うのか
わかんないんだけどね・・
でもプラトーは心理学の用語だって言ってたよ」


キサトシ
「心理学って心理テストのあれだろ?」


ジック
「そのままじゃねぇか」


ヨイチ
「間違ってないけどね〜
ボクも前に心理テストってやってみたことあるし」


キサトシ
「あれだろ、 心理テストで相性がわかるんだよ」


ジック
「ゲーセンによくあるよな、
相性占いってヤツ」


ヨイチ
「それはやったことないなぁ・・
キサトシ君、今度一緒にやってみようよ」


キサトシ
「えっ・・」


キサトシはテレながら尻尾を揺らした。

キサトシ
「でで、でもオレとヨイチって男同士だし
それでゲーセンでやるのって
ちょっと恥ずかしい;」


ジック
「耳激しく揺れてんぞ」


キサトシ
「あ;」


ヨイチ
「相性占いはまた今度するとして・・
とにかくコタロー君は今
さっきのプラトーってのにかかってるんだよきっと」


キサトシ
「プラトー・・ねぇ。
とにかく普通にやっても全然捗らないってことだよな」


ヨイチ
「そうだね。

コタロー君・・可哀想」


ジック
「残酷だけどさ、
こういうときはそっとしておいた方が良いと思うぜ」


キサトシ
「へぇ、今回は中身もクールだな」


ジック
「いつも暑苦しいと思うなよ」


ヨイチ
「コタロー君・・」








更に翌日の土曜日、ヨイチの家。

プルルル 一本の電話がかかってきた。

ヨイチ
「おっとっと」


少々慌て気味に駆け足で電話をとる。

ヨイチ
「もしもし、今野です〜」


フリックル
[おう、ヨイチ]

※[ ]は電話越しの声だと思え(クレしん風に)

ヨイチ
「リックさん♪」


フリックル
[元気か〜]


ヨイチ
「はい、元気です〜
1ヶ月ぶりくらいですね><」


フリックル
[そうだな〜
オレも学校とバイトとラジオで忙しかったし]


ヨイチ
「でもラジオ全然やってないですよね?」


フリックル
[そ、そりゃいいだろ;]


ヨイチ
「?」


フリックル
[んなことよりさ、
今暇?]


ヨイチ
「うん、暇ですぅ」


フリックル
[暇なら
これからオレとドライブでも行かねーか?
海沿いでも]


ヨイチ
「ドライブ!
わーいボクドライブ大好きです>w<」


フリックル
[はは、いいよなぁ
子供は素直に喜べて]


ヨイチ
「リックさんだって子供じゃないですかっ」


フリックル
[見た目は子供、心は大人ってか]


ヨイチ
「コナンのパクリですね」


フリックル
[だからいちいち痛いことを・・]


ピンポーン
家中にチャイムがわたり響いた。

ヨイチ
「あ、誰かきたみたい・・
あの、ちょっとだけ待っててもらえますか?」


フリックル
[うん]


ヨイチは電話の保留ボタンを押し、
玄関へと駆け込んだ。

フリックル
「はいはい〜」


ガチャ

キサトシ
「おっす」


ジック
「よ」


ヨイチ
「キサトシ君にジック君」


キサトシ
「ごめんなー、突然押しかけちゃって」


ヨイチ
「ううん、ボクもちょっと寂しかったとこだし^^」


ジック
「嬉しそうだな」


ヨイチ
「でもちょっと待ってねぇ、
丁度リックさんと
お電話してたとこなの」


キサトシ
「あ、うん」


ジック
「ヨイチって最近
アニキと仲良いんだな」


ヨイチ
「いろいろとね〜」


ヨイチは電話のあるところに戻り、
すぐに受話器をとって
保留ボタンを解除した。

ヨイチ
「お待たせしました!」


フリックル
[大して待ってねーけどな]


ヨイチ
「丁度キサトシ君と
ジック君が来たんです〜」


フリックル
[へぇ、んじゃ丁度いいな。
あいつらも一緒にドライブ誘ってやろうかな]


ヨイチ
「うわー、それは楽しそう>w<

ねぇねぇ二人とも〜」


ジック
「ん?」


キサトシ
「どうした〜?」


ヨイチ
「あのね、リックさんがね、
今暇ならドライブ一緒に行かないかって」


キサトシ
「ドライブ・・」


ジック
「丁度良いかも」


キサトシ
「うん、あいつのためにもなりそうだ」


ヨイチ
「あいつ?」


キサトシ
「コタローだよ、コタロー」


ヨイチ
「あれ、そういえば
コタロー君いなかったんだっけ」


ジック
「あいつさぁ、
この前のテストの件で
めっちゃテンション下がってたべ?」


ヨイチ
「そうだね〜、
ちょっと心配しちゃった」


キサトシ
「相当響いてたらしいからなぁ。 昨日なんて珍しく部活休んだくらいだし」


ヨイチ
「ムリもないよね・・
コタロー君ボク達と違って
スポーツ一筋で勉強する暇なさそうだもん」


キサトシ
「あのー、オレもどちらかっていうと
スポーツ系なんだけど・・」


ジック
「思い切し侮辱されたな」


キサトシ
「うっさい」


フリックル
[おーい、もしもし]


ヨイチ
「あ、ごめんなさい><;」


フリックル
[一応これ携帯からかけてるから
長引くと料金かさんじゃうんだよね^^;]


ヨイチ
「えっとねえっとね、
二人とも行くって言ってるし、
コタロー君も誘おうと思ってるんですけど」


フリックル
[いいよいいよ、
大人数の方が楽しいだろうし]


ヨイチ
「わーい><
えっと・・待ち合わせ場所は・・」


フリックル
[あぁ、オレが直接
ヨイチんとこ行くから
そこで待っててくれりゃいいよ]


ヨイチ
「わかりました〜
それじゃあボク達待ってますね」


フリックル
[おう、すぐ行くからな〜]


プツッ

キサトシ
「リックさんここで待ってろって?」


ヨイチ
「うん、待ってろだって」


ジック
「そんじゃあコタローの方はどうする?」


ヨイチ
「こっちに来てもらおうよ、
ご近所だし」


キサトシ
「そこは迎えに行こうと
しないんだ・・」








コタローが来てから数分後。

ヨイチ
「あ、きたきた〜」


向こうから一台の車がやってきた。

キサトシ
「あれ?」


ヨイチ
「うん〜 前に乗せてもらったことあるんだ〜」


全身銀色の自動車は
ヨイチ達の目の前に止まり、
ウィィィンと運転席の窓が開いた。

フリックル
「おーっすお待たせ」


サングラスをかけたフリックルが
クールに声をかけた。

キサトシ
「うわー、すっげぇ」


ジック
「でもアニキぃ、 カッコつけすぎだぜ」


フリックル
「オレだってこんなツラしてても
クールに決めたいんだよ。
お前なんていっつもクールじゃねぇか」


ジック
「これは生まれつきだよ」


コタロー
「へぇ・・」


フリックル
「ん、どした?」


コタロー
「あ、いや・・・
なんでもないッス」


フリックル
「?
まあいいや、皆早く乗っちまえよ」


ヨイチ
「はい〜>w<」


キサトシ
「コタロー、助手席お前乗れよ」


コタロー
「え、でも」


ジック
「いいっていいって、
おめぇ元気なさそーだから
景色でも見てりゃ治るさ^^」


コタロー
「い、いいよ
そんなに気を遣わなくて」


フリックル
「みんなが良いって言ってんだから
素直に答えちまえよ」


コタロー
「あ、ちょ;」


コタローは渋々
助手席の方に座り込んだ。

それに続いて他の3人も
次々に後ろの席に乗り込んだ。

ヨイチ
「わーい窓際♪」


キサトシ
「・・・」


キサトシはヨイチの
ワクワクした表情に見とれていた。

フリックル
「キサトシ」


キサトシ
「ハッΣ」


フリックル
「皆はどこ行きてぇの?
指定がなけりゃ海沿いでも行こうかって思ってるけど」


ヨイチ
「海行きましょー海><」


フリックル
「オッケー、
他のみんなも意義ないよな」


キサトシ
「異議なし〜」


ジック
「同じく異議なし!」


フリックル
「コタローは?」


コタロー
「そ、そんじゃオイラも海で」


フリックル
「おおっし、
湘南でも行くべ〜」


というわけでヨイチ達を乗せた銀色の車は
湘南へと向かっていくのであった。


続く。



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