VOL.51-1
「氷狼ドルチェ」
日曜日。
トゥルース
「は、裸エプロン?」
ケルガー
「あぁ、びっくりするだろ」
トゥルース
「い、意外ですね・・
ガルティさんにそんな大胆な一面が」
ケルガー
「最初は俺もびっくりしたよ。
まさかあのガルティが・・って。
だから俺も最初は無理してやってんのかなって思ったけど」
トゥルース
「けど?」
ケルガー
「あれ以来さ、
俺が朝起きると
たまに裸エプロンなんだよな」
トゥルース
「そ、そうなんですか。 ドキドキ」
ケルガー
「でもそんときの後姿見るとなぁ・・
特に後のスリットから飛び出てる尻尾が揺れてて
すんげぇかわいらしいのなんのって・・」
トゥルース
「い、良いですねそれ」
ケルガー
「だろ?
それが俺の最近の幸せ・・か*==*」
トゥルース
「いいなぁ・・」
ケルガー
「へっへっへ」
トゥルース
「そういえばドルチェ君も
時々朝に裸エプロンになるって言ってましたよ」
ケルガー
「え、そうなん?」
トゥルース
「えぇ。
彼は暑いの苦手だから
家じゃ裸で寝ることもあるって」
ケルガー
「あぁ、それは俺も聞いたよ。
っていうかガルティがああなったのは
ドルチェのおかげ・・じゃなくて原因かもしんねぇな」
トゥルース
「いいじゃないですか、
もうドルチェ君に感謝しなきゃ、とかで」
ケルガー
「あ、あぁ。
・・トゥルース」
トゥルース
「え、なんですか?」
ケルガー
「お前って他のヤツにはモジモジしてるくせに、
俺に対しては言いたいことはっきり言うんだな」
トゥルース
「えΣそ、そんなこと・・(汗」
ケルガー
「あ、いや悪い意味で言ってるわけじゃなくてだな。
その度胸を他のヤツに対しても
堂々と出せたら良いんじゃないの? ってこと」
トゥルース
「は、はぁ・・」
ケルガー
「俺も最初はガルティと暮らした始めたときは
言いたいこともなかなか言えなかったけどな・・
でも流石に1年も経つし、
割と普通になってきたって感じかな」
トゥルース
「そうなんですか。
以前のときみたいな気持ちは・・」
ケルガー
「いや、それとこれとは別だよ。
お、俺だって・・できることなら
裸エプロンのガルティを
後ろからガバッと抱きしめてやりてぇさ・・」
トゥルース
「だ、大胆ですね・・ ドキドキ」
ケルガー
「でも、逆に俺が
カウンターかけられちまうかもな」
トゥルース
「か、カウンター?」
・
・
・
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・
翌日。
トゥルース
「おはよう、ガル」
ガルウィンド
「おはよう〜」
トゥルースはマスクをしていた。
ガルウィンド
「あれ、どうしたの・・
マスクなんかしちゃって」
トゥルース
「最近インフルエンザが流行ってるみたいだから
用心しておこうと思って」
ガルウィンド
「あぁ、豚インフルか〜
あれは凄いよね〜
季節外れだし」
トゥルース
「ちょっとオーバーな気もするけど
俺は元々身体強い方じゃないし
用心に越したことはないしね」
ガルウィンド
「うん、トゥルースはすぐ感染しちゃいそうだから
気をつけないと」
トゥルース
「も、もし俺が感染しちゃったら・・」
ガルウィンド
「ん?」
トゥルースは指先をモジモジして喋った。
トゥルース
「い、一緒にいてくれる・・よね」
ガルウィンド
「あったりまえじゃ〜んw
逆に万一僕がかかったら・・」
トゥルース
「うん、たとえ俺の身に何があっても・・
が、ガルのことは絶対見放したりしないよ」
ガルウィンド
「うん、ありがとトゥルース♪」
トゥルース
「・・・」
トゥルースは尻尾を揺らしながら照れた。
トゥルース
「と、ところでガル・・」
ガルウィンド
「ん、なに?」
トゥルース
「・・・いや、なんでもない」
ガルウィンド
「? 別に良いけど」
トゥルース
「・・・」
い、言えない。
裸エプロンになって・・なんて。
と、心の中にとどめるトゥルースであった。
・
・
・
ガラガラガラ
元気良く教室のドアを開けたガルウィンド。
ガルウィンド
「おはよう〜
ってあれ」
氷河
「おはよう二人とも」
エマ
「おっは〜」
ガルウィンド
「ねぇ、ドルツー君と
レオ君は」
氷河
「まだ来てないよ」
トゥルース
「変だね。
いつもなら真っ先に来てるのに」
エマ
「私さっきメールしてみたんだけど・・
全然返事がないの」
ガルウィンド
「うぅん、二人して
インフルエンザにかかったってことないよね?」
トゥルース
「ちょっと心配だよね」
・
・
・
ガラガラガラ
「きりーつ!」
「礼!」
「おはようございまーす!」
カカル
「おはようございます(_ _」
「着席!」
カカル
「今日はドルチェ君とレオ君が
揃って休むそうです」
ガルウィンド
「うわ、やっぱり」
トゥルース
「あの、もしかして・・」
カカル
「あぁ、豚インフルエンザじゃないみたい。
ただの風邪だってレオ君が言ってた」
ガルウィンド
「なんだ〜一安心^^;」
トゥルース
「でも風邪だって身体弱い人にとっちゃ
重大な病気なんだから」
氷河
「でもドルチェもレオも
最近身体鍛えてるって言うし
早々かからないんじゃない?」
カカル
「まぁでも
病気は病気だからね。
油断すると怖いからね〜
私も気をつけよう・・
というわけでHR、始めるよ〜」
・
・
・
お昼休み。
カカル
「ねぇねぇ」
トゥルース
「何ですか?」
カカル
「放課後空いてるかな」
トゥルース
「放課後・・ですか」
カカル
「うん、今日の仕事終えたら
ドルチェ君とレオ君のお見舞いに
行こうと思ってね」
トゥルース
「お見舞いですか」
カカル
「他のみんなは
部活やバイトで忙しいみたいだから・・」
トゥルース
「いいですよ、俺も
二人のこと心配してるし・・」
カカル
「そうか、よかった♪
いやぁ、どうも私一人だと心細くてねぇ」
トゥルース
「えぇ、何でですか」
カカル
「まぁとにかく心強い仲間ができてよかった^^」
トゥルース
「は、はぁ・・」
・
・
・
そして、放課後。
カカルとトゥルースは
二人の住む三鷹へやってきた。
カカル
「トゥルース君」
トゥルース
「ん?」
カカル
「二人ってさ・・本当に病気だと思う?」
トゥルース
「え、どうしたんですか・・いきなり」
カカル
「何か臭いんだよねぇ。
今朝もレオ君から欠席の電話かかってきたんだけど・・
風邪引いてるような感じの声じゃなかったし」
トゥルース
「え、それじゃあ何で欠席にしたんですか?」
カカル
「かといってサボるって感じの
喋り方でもなかったんだ。
だからあえて二人を欠席にして、
これから真相を探ってみようかなって」
トゥルース
「せ、先生っていったい・・」
カカル
「ん? まぁ良いじゃないそんなこと(笑
とにかくそういう意味でもね、
ちょっと一人じゃ心細かったってこと」
トゥルース
「・・・」
ホコリ
「おーい!」
カカル
「ん?」
後ろから聞き覚えのある
叫び声が聞こえてきた。
トゥルース
「ホコリさん」
ホコリ
「見覚えのある後姿だと思ったけど
やっぱ二人だったんだな!」
カカル
「そりゃあ僕は分かりやすい姿してるからね(笑」
トゥルース
「あの、ホコリさんもお見舞いですか?」
ホコリ
「お見舞い?
俺っちはいくらドルにメールとか電話とかしても
全然反応ねーから心配しちまってさー」
トゥルース
「それでわざわざこっち来たんですか」
ホコリ
「リック兄ちゃんにも声かけたんだけどなー、
人には人の都合があるからーとかで
全然気にしてねーでやんの。
はくじょーも良いとこだぜ」
カカル
「それはないでしょう。
彼だってそれなりに心配してると思うよ」
ホコリ
「んーそうかな。
まぁそれなら良いんだけど・・
とにかく!
俺っちは心配だから家から飛び出してきたってわけさ」
トゥルース
「元気ですね」
ホコリ
「にゃはは、元気がとりえだからな!
それでさっきのお見舞いって何のことだ?」
・
・
・
二人はホコリに事情を説明した。
ホコリ
「えー!
新型インフルエンザに!?」
トゥルース
「ただの風邪ですってば」
ホコリ
「でももしかしたら
俺っち達に心配かけたくねーから
そんなこと言ったのかもよ」
カカル
「君も結構大げさだな^^;」
トゥルース
「先生だって怪しんでたじゃないですか」
カカル
「あれ、そだっけ(笑」
ホコリ
「とかなんとか言ってるうちに
着いたぜ、ドルん家」
カカル
「あら、フィクションって良いね〜」
トゥルース
「何ですかそれ・・」
ピンポーン
カカルはチャイムを鳴らした。
ガチャ
レオ
「あ・・」
カカル
「やぁ、レオ君」
レオ
「もしかしてお見舞いに来てくれたんすか?」
トゥルース
「うん、俺もホコリさんも時間あったから」
ホコリ
「なーなー!
ドルは、ドルはだいじょーぶか!?」
レオ
「え、えぇまぁ・・」
トゥルース
「?」
レオ
「一応・・大丈夫ですけど」
カカル
「本当に・・?
っていうかレオ君も
風邪には見えないけど」
レオ
「あ、オレは大丈夫です」
トゥルース
「オレはって?」
レオ
「あ」
レオは墓穴を掘った。
ホコリ
「ってことはやっぱドルは
何かあったんだな!」
レオ
「あ、ちょっと」
ホコリ
「にゃぁぁぁドルチェぇぇ><」
ホコリは全速力で
ドルチェの元へ向かった。
ホコリ
「あ”ぁぁぁぁ!!」
奥の方でホコリの悲鳴が聞こえた。
カカル
「ほ、ホコリ君!?」
カカルとトゥルースも急いで向かった。
ホコリ
「・・・」
カカル
「ホコリ君?」
トゥルース
「え、何があったんですが」
ホコリ
「俺っちと同じになっちまった・・ドルが」
カカル
「は?」
二人はドルチェの方へ目を向けた。
カカル
「あ」
トゥルース
「ど、ドルチェ・・君?」
ドルチェ
「・・・」
3人が見たのは、
四足の狼に形の変わった
ドルチェの姿であった。
続く。
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