14/12/29
第73回
「リア獣たち」
フリックル
「ブレストリッパーぁぁ」
コタロー
「いえーい」
フリックル
「こんばんは、
ブレストリッパーの時間がやってまいりました」
コタロー
「お相手はオイラ、コタローと」
フリックル
「フリックルが務めます、
どーぞよろしく」
コタロー
「リックさん、
クリスマスも終わりましたね」
フリックル
「うん、
後はぐだぐだっと年を越すのを待つだけだな」
コタロー
「クリスマス終わると
1年終わった感じしますよね」
フリックル
「まあオレはクリスマスなんて
どうでも良いけど」
コタロー
「どう過ごしたんすか?」
フリックル
「フツーにグダグダしてたけど?
何でんなこと聞くんだよ」
コタロー
「いや、あのとき
リックさんにラジオ任せて
オイラはのうのうとプライベートしちゃって
悪かったかなと」
フリックル
「変に気遣うんじゃねーよ。
オレは別に気にしてないから」
コタロー
「すんません」
フリックル
「クリスマスの話はおしまい。
過去形だし。
つーことで今日のゲスト呼びますかねぇ。
どうぞ」
正吉
「こんばんは」
マテライト
「どーも」
フリックル
「自己紹介・・はしてもらうまでもないかな」
コタロー
「よろしくお願いします」
フリックル
「っていうか
今日もまたイケメン揃いかい。
童顔組のオレの立場が」
マテライト
「んなこと気にしてどうするよ」
正吉
「俺は自分でイケメンなんて思ったことないけどな・・」
コタロー
「自分で思ったらナルシストじゃない?」
正吉
「俺ナルシストじゃないし」
マテライト
「寧ろ、リックの方がナルシストなんじゃねぇの」
フリックル
「なんでだよ。
オレは自分が童顔ってのを認めてるだけで
別にナルシストじゃねーよ」
コタロー
「まあ、みんなそれぞれ
生まれつきの顔っすものね」
正吉
「俺なんてこの顔だから
昔いじめられてたときもあったな・・
今はそんなことないけど、
当時は結構きつかったな」
フリックル
「オレは個性的な顔ってことで
寧ろ評価高いけど」
正吉
「ありがとうございます」
フリックル
「コタローだよな。
こん中で一番変貌したの」
正吉
「そうだよ。
高2くらいのときに急に声男っぽくなったと思ったら、
その翌年にこれだもん」
コタロー
「オイラとしちゃ
あんまり自覚なかったんだけどな・・」
マテライト
「けど、高校時代の純朴な子供っぽさから
卒業後の一気に前面に出た大人っぽさに変わったときの境目が
すげぇ分かりやすいと思うぜ」
コタロー
「それって褒め言葉なのかなぁ」
正吉
「俺らこの先変わるかどうかわからないし、
良いじゃん、前向きに捉えたって」
フリックル
「コタローはビフォーアフターしても
変わらずイケメンなんだよな・・
羨ましい」
コタロー
「はぁ」
マテライト
「お前も
白目目立った時は結構困惑してたぜ」
フリックル
「あぁあれね。
正直、白目目立って良かったと思うよ、オレは」
コタロー
「他に大きく変貌した人っていますかね」
フリックル
「いないだろうなぁ。
オレとコタローくらいじゃない」
マテライト
「まあ、変わったところで
どうなるわけでもねぇけどな」
正吉
「できる限り前向きに捉えたいっすよね」
フリックル
「変わったといえば、
マテ兄はあれからアツアツなのかよ」
マテライト
「はぁ?」
正吉
「あぁ、マテ兄さん結婚したんすよね。
遅くなったけど、おめでとうございます!」
マテライト
「ありがと」
フリックル
「なんだかんだで
マテ兄祝福されてんじゃん。
そりゃそうだよな、
あのマテ兄だもんな」
マテライト
「喧嘩売ってんのかよ」
フリックル
「んなことねーよ。
寧ろ嬉しいよ。
最初はマジで殺したかったけど」
コタロー
「ぶっちゃけますね」
フリックル
「マテ兄とは付き合い長いからね。
殺意と祝福の気持ちが同時によぎって、
最終的には祝福の方が強く出たってだけだし」
正吉
「そ、そうなんすか」
フリックル
「親友ってそういうもんだからな。
二人も親友ならわかるよ、
いずれはこの気持ちが」
マテライト
「そもそも二人に
彼女がいるかって話になるぜ、それ」
フリックル
「そうだな」
正吉
「コタローはいるよな、彼女」
コタロー
「え、それを言うなら
マー吉だっているよね」
正吉
「え”」
フリックル
「え、マジ
二人ともいんの!?」
マテライト
「へぇ、いるんだ」
正吉
「なんでバラすんだよ;」
コタロー
「いや、成行きでつい」
フリックル
「くぅ、どいつもこいつも
リア充かましやがって」
マテライト
「まあ俺は別に
執拗に聞いたりはしなかったけどな。
いるのは別に悪いことじゃないし」
フリックル
「一体どんな子だよ。
写真見せろオラ」
正吉
「ちょ、やめてくださいよ;」
マテライト
「まあ待てリック。
二人にも色々事情ってもんがあるから
無理に問いただすことねぇだろ」
正吉
「や、別にやましいことがあるわけじゃ」
コタロー
「オイラもマー吉も
互いの彼女と会ったことあるもんね」
フリックル
「じゃあ良いじゃん。
勿体ぶらないで見せろよ」
正吉
「仕方ないなぁ・・」
正吉はスマホを操作して
彼女の写真を表示させた。
正吉
「は、はい」
フリックル
「へぇ、この子か。
テールナーっぽいな。
正吉より背ぇ高いじゃん」
正吉
「モデルやってるらしいですよ。
詳しい詳細は知らないけど」
フリックル
「どうやって知り合ったの?」
正吉
「そんなことまで聞くんすか;
二十歳の誕生日迎えた直後の合コンで・・」
コタロー
「そうだったんだ」
正吉
「あーもう、なんでこんなこと言わなきゃ・・」
マテライト
「別に笑いのネタにしてるわけじゃねぇよ?
リックはどう思ってるかわからないけど、
俺は純粋に応援してるからな」
正吉
「はぁ、ありがとうございます」
フリックル
「じゃあ次コタローな」
コタロー
「はい」
マテライト
「そっちは堂々と見せるのか」
コタロー
「別に隠してるわけじゃないっすからね。
はいこれ」
フリックル
「へぇ、ライボルトの子かぁ。
こっちの方も華奢な体つきじゃん」
コタロー
「バイト先で知り合いましてね。
それからちょくちょくご飯食べに行ったり
買い物行ったりしてるっす」
マテライト
「相当なリア充っぷりだな」
コタロー
「正直、彼女かって言われれば
オイラからすると微妙なラインなんすけどね・・
そもそもオイラ、恋愛的な経験ないし」
フリックル
「バカ、こういうのを恋愛っていうんだよ。
思い切ってアタックしてみりゃいいじゃん。
男なんだから」
コタロー
「えー、でもなぁ」
マテライト
「強引に勧めるわけじゃないけど、
その気があるなら攻めてみるのも良いぜ」
フリックル
「正吉もだぞ」
正吉
「お、俺もっすか」
フリックル
「二人ともまだ若いんだから・・」
コタロー
「リックさんも若いじゃないっすか」
フリックル
「ばかやろ、
オレは顔は子供っぽいけど
中身はもうおっさんだし」
マテライト
「確かに最近のお前って
結構おっさんぽくなってるよな」
フリックル
「自分の恋より
他人の恋の方が気になるからさぁ・・
なんて言ってる場合じゃないんだけど」
コタロー
「オイラ達よりも、
寧ろリックさんのことを応援しないと」
正吉
「そうだよ。
リックさん、是非素敵な彼女見つけてください」
フリックル
「え、なんでこんな展開になってんの」
マテライト
「良かったなリック。
いい後輩に恵まれて」
フリックル
「・・・よせやい」
コタロー
「じゃ、今日は
リックさんを慰める会と称して
このまま居酒屋直行しますか?」
マテライト
「そりゃ良いな。
今日はリックの分だけ
俺らでカンパしてやろうぜ」
フリックル
「なんでそうなる。
んな情けない真似させられっか」
マテライト
「ふ、強がんな」
コタロー
「じゃ、決定っすね」
正吉
「そういうことだったら俺も付き合いますよ。
明日は午後から仕事だし」
コタロー
「オイラもだよ」
フリックル
「マジでよせやい・・
自分が情けなさ過ぎて涙がでらぁ」
マテライト
「素直に受け止めておいてやれよ。
応援してるぞ、リック」
フリックル
「うぅぅ」
コタロー
「それじゃあ、このまま流れで
ラジオは終わりってことで。
皆さんお疲れ様っす」